Classici giapponesi con furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Leggi 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.803 caratteri · 213 schermate
のかも知れない。もしそうなら妾と一式様は、よくよくご縁があるというものだ。そういうお方と同じ場所で、同じ一味の悪者の手で、同時に殺されてこの世を去る。恋冥加! 怨みはない!」これが桔梗様の心持ちであった。
で少しも取り乱さなかった。とは云えやっぱり悲しくもあれば、また恐ろしくも思われた。で、泣きながら身顫いをし、顔から袖を放さなかった。
その間も南部集五郎の声は、戸口を通して聞こえて来た。
「三尺になるのも間もあるまい! 四尺になるのも間もあるまい! 五尺六尺となるだろう! 部屋が滝の水で一杯になろう。と窒息だ! すなわち溺死!」
ザ――ッ、ザ――ッと滝の音が、伴奏のように聞こえて来る。
と、またもや集五郎の声が、「腰まで浸いた! 腹まで浸いた! おおとうとう胸まで浸いた!」
ザ――ッ、ザ――ッと滝の音!
と、また集五郎の声がした。
「喉まで浸いたぞ! 頤まで浸いたぞ!」
ザ――ッ、ザ――ッと滝の音!
つと華子は踏み出した。「まだ云わぬか! 汝強情! 云え云え云え、蝶の在家を! まだ助かる、さあ桔梗!」
ヌ――ッと杖を突き出した。キラキラ光る黄金の杖! 水銀色の醂麝液が、その尖端で顫えている。