Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんぴこんちゅうかん

神秘昆虫館

国枝 史郎

Leggi 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.803 caratteri · 213 schermate

Aozora Bunko

二人が微笑して眼を見合わせた時、谷の上から声がした。

「蹄の音だ! 聞こえる聞こえる!」

「ソレそっちへ追いかけろ!」

つづいて木を分け草を分け、大勢の馳せ下る音がした。一ツ橋家の武士達であろう。馬の蹄の鳴る方へ、追っかけて行くものと思われる。

「計画的中! しめたしめた!」

笑みを湛えたが小一郎は、決して油断はしなかった。二人の武士を叩っ切り、血に濡れている大刀を抜いたまんまで膝へ引き付け、全身を大岩の蔭へ隠し、立て膝をして窺った。木洩れ陽が一筋射している。それが刀身を照らしている。そこだけがカッと燃えている。がその他は朦朧ている。引き添って背後に坐っているのは、女馬子姿の君江である。用意をして来た懐刀を、帯へ差したまま柄を握り、見現わされたら女ながらも、切り捲くってやろうと構えている。

蹄の音が遠ざかる。追って行く武士の足音も、それに続いて遠ざかる。

いよいよ危険は去ったらしい――と思った瞬間であった。二人の真上から人声がして、走り下って来る足音がした。

「これはいけない、見現わされそうだぞ!」さすがにハッとして小一郎が、抜き身をユラリと取り直した時、五、六人の武士が馳せ下って来た。