Classici giapponesi con furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Leggi 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.803 caratteri · 213 schermate
この俺達が谷を上り、田安の連中と一緒になろうとすれば、一ツ橋勢が追っかけて来る。そこでどうでも俺達とすれば、いつまでもこうやって谷の底を、辿って行かなければならないのさ」
「面白い身の上でございますよ。強い二つの大きな国に押し付けられておりながら、威張り巻くっている小さな国、それが私達でございますよ」
「俺達がちょっとでも間違うと、すぐに平均が崩れてしまう」
「私達が穏しくしていれば、いつまでも現状はつづいて行きます」
「だから随分危険だとも云える」
「危険だからこそ面白いので」
「君江、相変わらず面白いことを云うな」
「あたりまえのことでございますよ」
「そのあたりまえということが、なかなかもって云えないものさ」
谷底の道は辿りにくい。でも二人は辿って行く。
五十四
随分辿りにくい谷底である。大岩が諸所に盛り上がっている。藪や灌木が蔓っている。谷川が一筋流れていて、パッパッと飛沫をあげている。秩父名物の猿の群が、枝から枝へと飛び移り、二人を見ながら奇声を上げる。と、闇のような所へ出た。喬木が蔽うているのである。二人は先へ辿って行く。
その時右側の谷の上から、ドッと鬨の声が湧き起こった。