Classici giapponesi con furigana
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しんぴこんちゅうかん
神秘昆虫館
国枝 史郎
Leggi 神秘昆虫館 (しんぴこんちゅうかん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.803 caratteri · 213 schermate
山の中にいたお前さんのことだ、そういうことは知らないだろう。茶の湯、生花、これからお習い! え、何んだって、知っているって? 痩せ我慢はいけない、気取ってはいけない。山家育ちのお前さんなどが――と云っても大変別嬪だが、何んの茶の湯や生花などを、知っていることがあるものか。え、本当に知っているって? ふうん、そうか、それは感心。そうかも知れない。そうかも知れない、打ち見たところ上品で、女一通りの芸や作法は、どうやら心得ているように見える。何さ何さ一通りどころか、十二分に心得ているらしい。とするとどうも困ったな。何を習ったらいいだろう? おおそうだ、いいものがある、お習いお習い、泥棒をね」
葵ご紋の威厳のある武士は、能弁に愉快そうに喋舌って来たが、とうとうこんなことを云い出してしまった。泥棒を習えというのである。
これにはさすがの桔梗様も、驚いたかというに驚かなかった。
したたるような美しい眼と、恍惚するほどの美しい声とで、負けずに愉快そうに云ったものである。
「叔父様、結構でございますこと、習いましょうねえ、泥棒を」
「え?」とこれには叔父の方が――葵ご紋の武士の方が、あべこべに仰天したらしい。