Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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まつり

祭

寺田 寅彦

Leggi 祭 (まつり) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 1558 caratteri · 4 schermate

Aozora Bunko

一順すむと祭壇の菓子を下げて子供等に頂かせる。我も一度はこの御頂きをうれしがった事を思い出してその頃の我なつかしく、端坐したまう父母の鬢の毛の白いのが見えるも心細いような気がする。子供等は何か無性に面白がって餅を握りながらバタバタと縁側を追い廻る、小さいのは父上の膝で口鬚をひっぱる。顔をしかめながら父上も笑えば皆々笑う。涼しい風が吹いて来て榊のゆうがサラサラと鳴り、檜扇がまた散った。そのうちに膳が出て来て一同その前にすわる。「どうですかせいちゃんは、神様の前で御膝を出して。ソレ御つゆがこぼれますよ」と云う一方では年かさの姪が小さいのにオッキイ御口をさせている。夕日が向うの岡にかくれて床が薄暗くなったから御神燈をつけ御てらしを上げた。榊の影が大きく壁にうつって茄子や葡萄が美しくかがやいた。父上のいくさの話が出て子供等が急におとなしくなったと思うたら、小さいのとせいちゃんは姉上の膝の上ではや寝てしまった。姉上等がかえると御てらしが消えて御神燈の灯がバチバチと鳴る。座敷がしんとして庭では轡虫が鳴き出した。居間の時計がねむそうに十時をうったから一通り霊前を片付けて床に入った。