Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ねぎさまみやた

禰宜様宮田

宮本 百合子

Leggi 禰宜様宮田 (ねぎさまみやた) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.662 caratteri · 68 schermate

Aozora Bunko

一

一

春になってから沼の水はグッとふえた。

この間までは皆むき出しになって、うすら寒い風に吹き曝されていた岸の浅瀬も、今はもうやや濁ってはいるがしとやかな水色にすっかり被われて明るい日光がチラチラと、軽く水面に躍っている。

波ともいわれない水の襞が、あちらの岸からこちらの岸へと寄せて来る毎に、まだ生え換らない葦が控え目がちにサヤサヤ……サヤサヤ……と戦ぎ、フト飛び立った鶺鴒が小波の影を追うように、スーイスーイと身を翻す。

ところどころ崩れ落ちて、水に浸っている堤の後からは、ズーとなだらかな丘陵が彼方の山並みまで続いて、ちょうど指で摘み上げたような低い山々の上には、見事な吾妻富士の一帯が他に抽でて聳えている。

色彩に乏しい北国の天地に、今雪解にかかっているこの山の姿ばかりは、まったく素晴らしい美しさをもって、あらゆるものの歎美の的となっているのである。

山は白銀である。

そして紺碧である。

頂に固く凍った雪の面は、太陽にまともから照らされて、眩ゆい銀色に輝きわたり、ややうすれた燻し銀の中腹から深い紺碧の山麓へとその余光を漂わせている。

遠目には見得ようもない地の襞、灌木の茂みに従って、同じ紺碧の色も、或るところはやや青味がちに、また或るところはくすんだ赤味をまして、驚くべき巧みな蔭のつけられてある麓の末は、