Classici giapponesi con furigana
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わたしのりれきしょ
私の履歴書
井上 貞治郎
Leggi 私の履歴書 (わたしのりれきしょ) di 井上 貞治郎 (いのうえていじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.380 caratteri · 69 schermate
人生再出発は元金十銭
『ちょいとごめんなすって……』
私はふすまをあけて両手両ひざをつき、見よう見まねの渡世人の仁義をよそおい上目づかいにいざり寄った。
『まっぴらごめんなさっておくんなさい。わたしはとなり座敷のものですが、若いお娘さんはどうなされましたか?……それはともかく私は、いま非常に進退きわまっているんだが、はなはだぶしつけながら、私の体を質にとって内地へ連れて帰ってもらえないでしょうか。もし願えればあなたの仕事もわかっていることだし、手助けでもしてご恩に報いることもできると思っています。聞けばあすおたちのそうだが、ひとつ連れて帰ってくれませんか』
唐突の侵入者のことばに相手は驚いた様子だが、こっちも必死だった。ぐいと相手の目を食入るようににらんで私は返事を待った。さすがの悪党もすねに傷持つ身、私の気迫に押されたのか、しばらく無言で私の顔をねめつけていたが、やがて『よろしい。お頼み通り引受けよう』とあっさり承知してくれた。
計略は図に当った。私はほっと深い息をはき、肩の力を落した。あまり簡単に引受けてくれたので気の毒になり『大阪には小さいながら自宅もあります。帰りさえすれば家を売り払ってでも金は返します』