Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(一) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 246.214 caratteri · 495 schermate
さはいえ、大蔵の屋敷は、すぐ明るくなった。
足利ノ庄からは、母の便りが、ひんぱんに来る。病床の父貞氏も、この夏はだいぶお気色が快い。――いや何よりは、当の高氏を見る家中の間も、
「秋になるか、年暮になるか、やはり若殿も、その日がお心待ちには違いない。近頃は、われら雑輩の端にまで、よく御冗談など仰っしゃるではないか」
という風に変っていた。
しかし、内々の進めも、七月中は一頓挫していた。
後宇多法皇崩御の訃が聞えたのは、前月の月の末だった。――当然、鎌倉の柳営でも、数日間は、音曲は停止され、それからしばらくの間も、諒闇の喪が令されていたからである。
が、初秋が来て。
おちこち、里祭りの多い八月ともなると、街の灯もさやかに、歌や鼓も、聞かれ出した。
「若殿、御書見ですか」
「オ、右馬介か。なあに、申すほどな勉学ではない。母上からお便りのたびに、稀れには、和歌草稿を見せよとか、近ごろ禅書は見ておるかなどとあるので、ま、ほんの申しわけだ」
「秋の夕です。ちと、浜辺の方でも、お歩きなさいませぬか」
「いいなあ。だが、そちがそんな風流を誘うのはめずらしい。何かあるのか」