Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(一) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 246.214 caratteri · 495 schermate

Aozora Bunko

「ホ、ホ、ホ……。それは北ノ方様なればこそ。尼などは、身を貧しゅう持っておりますゆえ、旅路にも、なに恐ろしいものはございませぬ」

「いえ、それだけでなく、あなたは余りにお美しいから。……のう殿、たれかしかるべき豪の者を、わが家からも、さし添えておやりなされませ」

「そうだな。御厨ノ伝次か人見新助か。む、伝次がよからん。……そして立つ日は」

「尼前は、明朝と仰っしゃいます」

「今日が名残りか。では母上(清子)も入れて、夕餉でも共にしようよ。登子、母上へおつたえしておけ」

その清子は、病夫貞氏と共に、まったく表方には姿をみせず、隠居所の別殿にこもって、近ごろは“日課地蔵絵千枚”の発願に他念もない。

小色紙半ぶんほどな紙に、地蔵菩薩の相絵千枚を描いて、世の有縁無縁に頒とうという願いである。

「――お地蔵さまという御仏は、五濁悪世といわれる餓鬼、畜生、魔魅の巷には好んでお降りある普化菩薩だということです。いまの世は、その地蔵菩薩でも招来せねば助かりようもない時勢というてもよいでしょう。そんな波風へ立って行くそなたたちじゃ。これをお身の護符ともなされ、お身ご自身とも念じ給うて、肌身に持っていて下され」