Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(一) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 246.214 caratteri · 495 schermate
「ヤ、これですか」
佐々木は、酒照りも加えて、一そう青々とかがやいている頭へちょっと手をやって。
「もとより出家ではおざらん。いうならば、おつきあいの剃髪とでも申すべきか」
「はて、異なおつきあいを」
「戯言とおききあるな。じつを申そう。仕儀はかようなわけでおざった」
――少年時、彼は、執権高時のそばで小姓役をつとめ、元服祝いなども、鎌倉御所でなされたほどに寵をうけた。
ところが高時にはまま“おん物狂い”と人もいう得たいのしれぬ奇病がある。
そのため先年、病後の床あげを機に、薙髪して入道となった。同日、佐々木高氏も「いささか君に殉じ奉る心で……」と、惜しげもなく髪をおろした。高時は「佐々木のような者こそ御家人の鑑ぞ」と、大いに愛でて、“道誉”という法名までつけてくれた。――それからの彼への眷顧はまた格別だった。やがて佐々木が近江七郡守護の職を嗣ぐ身となっても、その御信頼は変っていないと、彼自身いうのであった。
「それは、御奇特千万」
聞き人は笑うのはよろしからずと考えて笑わなかった。からからと笑ったのは佐々木である。
「執権どのは、常日頃、そうした事のみが、およろこびのお方なのだ。