Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(一) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 246.214 caratteri · 495 schermate
こんなことは遊女の鳰にはたくさんな覚えがある。初めのうちの男の峻拒などは上べだけのものでしかない、ときめこんでいる大胆さなのである。誇らしげに胸の下に圧している高氏の面をながめる様といい、四肢でするその行為といい、美獣が餌を弄るときの姿態とおなじだった。いたずらッぽい気長さで我慢づよくて、下から一つや二つ頬を打たれたぐらいでは怒りもしなければ休めもしない。
「……ベッ」
執拗なその紅唇を交わすたび、下の高氏はくるしげに唾を鳴らした。力の争いでも鳰にかなわない気がどこかでしている。が、ほんとは鳰の力を刎ね返せないわけもなく、大酔のせいでもなかった。じぶんの初心な血に燃えついてしまった性の火との闘いを、自分の中でしていたにすぎない。
「は、離せ」
「……いや、いや」
窒息を迫ってやまぬような黒髪の粘さであった。……高氏は負けかかる。
高氏もこれまでに女性の体を知らないのではなかった。多分に未開な下野国地方では、上下共に楽しみといえば自然飲み食いか男女の関係にかぎられている。筑波の歌垣に似た上代の遺風が今なお祭りの晩には行われるほどだった。早熟の風も、ひとり高氏だけにあったのではない。