Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate
半ば、この発向は、義貞の意地でもある。
病間窶れの翳に加え、眼はするどく、大鎧も重たげに、
「陽も、久しぶり」
と、馬上、弥生の空の下へ出たが、まだ気懶く、麗子のからだの香までが、心の奥にのこっていた。
しかし、二条、三条ノ辻、朱雀の大路と、諸所に勢ぞろいしていた万余の軍勢を一巡閲兵してまわると、ひたいは発汗に濡れて来て、もう彼女の存在など毛穴の一つにもとどめてはいず、完全なる三軍の将義貞だった。
「止まれ」
里見義胤の一号令に、旗本隊はざッと一せいに騎を降りて、そして同じく、徒歩となって一人彼方へ行く義貞の背を見まもっていた。
花山院の仮皇居の前である。義貞は衛門まで進んで出陣の奏をよそながらお告げした。と、その門内からだった。
「おう、左中将どの」
「や、千種どのか」
「ご快気の由、めでたい。今朝、出陣と聞しめされ、天機もことのほかお麗しく拝された。尊氏の首をみる御殊勲の日をお待ち申すぞ」
「お贐の辞、かたじけない。――じつは瘧を病んで、まだ少々病余にはござれど、武士の一分、押して今日発向つかまつる。仮病にてはあらざりしことも、いつか上聞に達しおかれたい」