Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate
床場の内では、弓の弦師、具足の修理、くさずりの縫工、研師、塗師、革裁ち、柄巻き、あらゆる部門の職人が見える。そして大きな切炉の膠鍋から膠の煮えるにおいと薪のいぶりがむうとするほどな物をたちこめていた。
「や、これは」
正季を見ると、溜りの役人二、三名がとび出してきて。
「黒縅しの御一領は、昨日仕上り、龍泉の方へ届け申し上げておきましたが」
「ム、見た。だいぶここは手が揃ったな」
「これもきのうのこと。住吉から新たに十人ほどの具足師が来て加わりましたので」
「鳶七は帰ったのか」
「忙しげに、すぐ住吉へ立帰りました。龍泉殿へは何とぞよろしくと、申しまして」
「新しく入った職人とは」
「は。……あれにおりまする一ト組、またこちらで、膠着けをしている者、そしてむこうの隅で錣縫いをしているのもきのうから参った者で」
指さす所へ、正季の目がくばられ、順にそれらの職人を眺めていたが、ふと、彼の注意をひいた者があった。
「見たような?」
と、思ったのである。
その男は、渋色の粽頭巾をかぶって、汚い布直垂を職人結びに後ろでむすび、片膝たてて革胴の草摺を大きな動作で縫っていた。――横顔でしかないので正季のひとみが待つようにじっと見ていると、なにかのはずみで彼の顔もこっちを向いた。