Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate
素直に麓へもどりなせえ」
「ご親切に」
「冗談をいってるのとはわけがちがうぜ。おい」
男は二、三歩先へ出て、そして、ぐるりと向い直った。
「下りろ、麓へ」
「どうしてです」
「どうたって、てめえは住吉から来た具足職人のはずじゃあねえか。どうしてこんな所へ用があるんだ」
「…………」
「ええ、おいっ」
と、介の胸板を一つ突いて。
「下赤坂のお城からこの御領内には、忍ノ大蔵という御家来さまが眼をひからしているってえのを、てめえ知らずに入りこんできたのか」
「もし、ちょっとお待ちなすって」
「いいわけはよしなよ。ただの御家臣ならごまかされようが、おれは元々、六波羅の放免頭もしたほどな男だ。正成さまを慕って、そのごはここで御奉公している身だが、いぜんから持っているおれの眼力に狂いはねえ。てめえが根からの具足職人か、他国から入って来た怪しい奴かぐらいなことは一ト目でわからあ」
「ム。……そうか」
「何、そうかだって」
「しかたがないじゃないか。そう分ってしまったものは」
「観念したのか」
「しないわけにゆかない。しかし大蔵とやら、おれは決して、きさまの疑うような敵意を抱く物騒な人間ではない」