Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate
が、それでもいつか横たわると三千の兵は死んだように眠っていた。眠っているまが人間の本望を充たしている最良の時でもあるかのように。
尊氏も一とき眠った。
そのほかは地蔵堂の縁をめぐって思い思いな寝相をえがいていたが、折々には、むくと誰かが首をもたげて耳をたてた。そしてまた眠りにおちた。
こうして寅の刻(午前四時)をやや過ぎたかの頃になると、初めて、地蔵堂附近は騒然となり、人も馬もふるい起きて、やがて一せいに峠の上へ出て行った。――そこに立つと、竹の下はすぐ眼の下にあり、敵の所在は燃え残りの火の気で知れる。尊氏は歯の根のふるえを禁じえなかった。心のなかでさし上げた大石を一気に落すような思いで言った。
「あの真ん中へ突っ込め」
そしてまた、
「坂下へ廻るな。いつも敵の上に足場をとっていためつけろ」
と、追っかけに注意した。
まだ夜は明けていず、足もとすらもまっ暗なのだ。――敵の驚きはいうまでもない。寝耳に水の奇襲だった。脇屋義助の本陣のあたりが、須臾のまにぱっと赤い火光に染まってみえる。すでに火が放けられたものであろう。
また。近くの足柄明神もすぐ黒煙にくるまれていた。