Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(三) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 222.108 caratteri · 446 schermate

Aozora Bunko

取り返したとて何が悪かろう」

就寝しても、彼は小右京と藤夜叉との肌を妄想の中でくらべていた。どっちの性も未知である。しかし藤夜叉を屈伏させてみることに伴うほどな嗜虐味は、小右京の清麗さには期待できない。

「……ま、主膳めに、まかせておこう。這奴もこんどは失策れまい」

瞼は眠った。

と見えたが、寝つかれぬ様で、またも、枕の位置などかえていた。

「……はや、あす一日か。隠岐までは渡海せぬにせよ、出雲まででも日数はずいぶんかかる。しかも途中容易な気づかれではあるまいて。……だが、はからず旅帰りの愉しみが一つ出来た。主膳めの才覚で、首尾よく留守のまに事が成就しておれば」

こんどこそほんとに眠りに入ったらしい。頬の黒子まで寝顔の中で寝入っている。

三月六日だ。

明けるも待ちかねていたように佐女牛の邸は忙しげな物音だった。

道誉もはや起き出し、

「みな心得ておけよ。隠岐遷幸のご発駕はいよいよ明日だぞ。あすの巳の刻(午前十時)六波羅を立つ」

広縁から庭へ向って、庭上にあつめた黄母衣組の者や物頭たちへ告げていた。

「それとな、大弥太」

「はっ」

「さきには、当家の出勢百五十名と触れおいたが、ちと編成をかえるによって、さらに百名を加えて行くぞ。