Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(三) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 222.108 caratteri · 446 schermate
「いや、その惧れは大いにある。折も悪く、すぐ先の加古川ノ宿には、ちょうど、先帝後醍醐の一行が昼からお泊りの由でもあるし」
寺とは名のみな、念仏道場の破れ門前に、陣幕が見える。彼は物の具も解かず、今夜はそこで床几のまま居眠りでもして過ごすつもりだった。――夜明けて船へ宮を移してさえしまえば、船ではいくらでも眠られる、と。
が。まどろみかけるひまもなく、宮のそばに近くいる不寝ノ番の一将が来て、またぞろ、彼の神経を研がせた。
「どうも処置がございません。宵から宮は警固の武士へ、泣いて、お叫びつづけです。……武士の情けじゃ、ひと目、父のみかど(後醍醐)へ会わせてくれい、みすみす川ひとえ彼方のお宿にいるものを、と」
「しゃッ。その儀はならんといったのに、まだ駄々をこねておられるのか。一体誰が囹圄のお耳へ入れたのだ」
「いや、加古川ノ宿には、こよい御父の後醍醐も、お泊りなりと、自然、ご存知あったらしく」
「ばかな。告げ人もないに、御承知のはずはない。せっかくなれど、武士一存では、お計らい申し上げかねると、再度ようお諭し申せ」
「それはもう、くりかえし、申し上げまいたが」