Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(三) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 222.108 caratteri · 446 schermate
後醍醐の“笠置がくれ”とはまだ気づかず、叡山の上の偽天皇を、まことの天皇と信じてかかったことである。
世は大乱の底へと一気に急ぐはずだった。謀略のためには、嘘の錦旗や偽宣旨もおこなわれ、血まなこの幕府方は、目さえ見えなくなっていたのだから。
叡山攻めは二十八、九の両日にわたり、わけて二十九日は激戦をきわめたらしい。
六波羅の大将は、かの佐々木道誉の一族で、これも近江源氏の六角ノ判官時信だった。
その下に。
海東左近将監、長井丹後守、越後ノ前司貞知など、およそ二千騎。
この手は、大津から唐崎への、湖畔へかけて布陣したが、べつな一軍は、叡山の京口、一乗寺下がり松に陣して、そこの表と、搦手の湖畔口との、両面包囲のかたちで、迫ったのである。
「ほどの知れたもの」
と、山上から小手をかざした僧兵らは、すっかり敵を呑んでいた。
「まだ、鎌倉勢は、一兵もあれに加わってはいない」
それが、読めたので、
「いでや、加勢が上って来ぬまに、六波羅の虫ケラどもを、みじんにしておけ」
と、意気高々なものがあった。
加うるに、彼らは、
「天皇、御山にあり」
と信じて、本堂釈迦堂の上にひるがえッている錦旗の光彩を、すこしも、疑いなどはしていなかった。