Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(三) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 222.108 caratteri · 446 schermate

Aozora Bunko

――全く風もハタとやみ、伊吹山の上半身は、厚い垂れ雲の幕に徐々と隠されてくるなど、太刀執りを命ぜられた者の気持ちも、決していいものではありえなかった。

わけても。

きのうあたりからは、たいへん、機げんのよかった中納言殿だったのにと思うと、彼らにしても、輿のそばへ立ったときは、ひとしい人間感に取り憑かれて、何とも、ことばが、切れなかった。しかし、

「上意ですッ」

言ったとたんに、玄蕃も六郎左も、武者そのものになっていた。

「源中納言殿。輿をお出なさい。御奉書を読みきかせる」

「なに」

具行は、彼らの語気で、すでに何かを感じたように、さっと、血のひいた顔をみせた。荒らかに、兵が輿の引戸を開ける弾みに、転び出して、

「上意とは、何か」

と、草に坐って、聞き詰ッた。

「されば、鎌倉どのの上意でおざる」

すると、具行は、憤然として、それを叱ッた。

「だまんなさい。源中納言は朝廷の臣だ。朝命なればわかるが、そのほかの上意などとは心得ぬ。ものは気をつけていうものぞ」

彼の反撥を食うと、かえって、仮借は無用と、玄蕃も六郎左も、その傲岸を、露骨にして、

「しゃらくさい小理窟を」