Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate

Aozora Bunko

「神妙である」

として、そのさいの彼には、おおむね寛大だった。

小町の留守には、彼もまた、ほかの御家人並に、正妻がおいてあった。で、病身の看護の手に、ぜひその妻を、連れ帰りたいと願い出たのである。

義貞の室は、北条氏の重臣、安東左衛門高貞(入道聖秀ともいう)のむすめであり、その安東家からも、

「よろしきように」

との口添えが、幕府へなされていたので、その妻と共に、上野へ帰って行った。

ところが、帰国以後の義貞の身辺には、とかく病身ともみえぬという報告が、近くの国府から幕府のうちに聞えていた。――それいがいにもチラホラ腑におちぬ風聞があり、さらに今暁の、足利千寿王の失踪という突発事も起ったので、

「念のためだ。新田の小町屋敷もいちど洗ってみよ」

との高時の命から、俄な家捜しとなったものだった。

が、結果は何もうるところがない。数通の公卿手紙も、四季のたよりや、持明院統の人の筆で、幕府として、何ら敵視されるものでなかった。

それと留守居の老臣も、ほんとに世事にもくらい老家職にすぎず、小者、釜屋働きにいたっては、論外な無知で、取調べの労にも足らない。

しかし幕府は、これでいいとはすまさない。