Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

しほんたいへいき

私本太平記(五)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate

Aozora Bunko

高時は本能的に眼をそらして、ついと座から立ってしまった。

「たれか聞いておけ。つかのま、具足を解いて、肌の汗を拭いたい。崇顕でも駿河でも、その間に戦況を聞きおいてくれい」

ちょうど廊に女房たちの列が見えた機だったのである。

「ここへよこせ」

高時は、石ノ庭の廂へ坐った。血まみれ武者の虫の息を見て、寝起き顔の貧血を、よけい青白いものにしていた。

耳盥のぬる湯で絞る白い布を見て。

「お妻、もいちど絞れ」

「お肌もお拭きあそばしますか」

「この汗だわ。誰ぞ、具足の紐を解け。そして襟もとから手を入れて、背を拭うてくれ」

そのあいだに、常葉の局は、唐団扇で横から涼を送り、百合殿ノ小女房は、天目台にのせたお薬湯のをすすめた。

高時は一ト口ふくんで、石ノ庭へ吐きすてた。

「こんなもの、たれが持って来いといった」

彼女らは、遠くすべって、おののきの指をそろえた。

「ご近習や典薬頭から、お目ざめの都度には、きっと、さし上げるようにとのことで」

「ばかな。この高時のどこが病者か。病人は天下の奴輩だ。上は主上公卿の堂上から下種にいたるまで、天下惣気狂いとなっている現状には相違ない。しかるに、この高時ひとりをみな狂人視いたしおる。