Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate
銭、新発行の楮幣などが、むしろ仲間でさかんにやり取りされている。
「おや組頭が、誰か、しょッ曳いて来たらしいぜ」
「六条の飲屋のおやじだ」
四、五人が抜けて、彼方へ走り、その三人と何か話しているうちに、一同、げたげた笑い出していた。
「何のこった、また楮幣のいざこざか」
「いやおれもゆうべ、同じ目にあった。いつもの遊女宿で楮幣を出したら、売女どもまで口をそろえて、これは紙キレだと吐かしおる。――そこで、ばかめ、これは天朝様のご証文だ、うぬらは都に住みながら、天朝様のご証文ではいやなのかと一喝くれたら、それなり黙って引っ込めやがった」
「ところがだ」と、三人の方のひとりが言った。「このおやじには、そんな物分りすらもない。あげくに、おれどもを食い逃げ武士と人中で罵り、楮幣やら、ちょろまかしやら知らぬなどと、御新政向きまで誹謗しおった」
「こいつがか」
と、おやじの横顔へ足蹴をくれた一人の私兵が、私兵のわが身にくらべて言った。
「ばか野郎。おれどもがいただく給与は、この正月からみなこの楮幣で支払われたのだ。それが通用もせぬ紙きれだったら、この身ばかりか女房子は乾干しだわ。