Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate
妓たちは来てみて驚いた。
買いえた物を夢かとばかり抱えて走りもどって行くのもあり、楮幣を紙きれ扱いにして、つい人にやってしまったのを、急にその場で返してくれと争っているのもあり、なにしろ目の色を変える騒ぎだった。
道誉はにやにや眺めていた。そしてさらにその日、倉庫の内の、茶、染料、薬種、そのほか種々な物資を外に出させていた。
噂はたいへんだった。もっぱら、花街の妓たちから、ぱっとひろがったものである。
「楮幣さえ持ってゆけば、なんでも払い下げて下さるそうだ。佐女牛のおやしきでね」
「銭ではいけないのか」
「楮幣にかぎる、物と物との交易も相ならず、というんだそうだよ。――市でも近ごろ見なくなった舶載の上茶だの、糸、朱粉、薬種、香料、唐織、欲しい物だらけだというんだが」
「あるかね、楮幣が」
「さ、それがない」
「もったいないことをしたよ。じつは武具仲買の大手筋が、楮幣払いでなら、ここで漆一千斤、革五百枚の大注文を出すといっていたんだが、つい断わってしまったばかりさ」
おおむね、こんな話なのである。中には、さっそく楮幣をかきあつめ、そこから入手して来たという品種を市へ持ち出して転売の巨利をせしめた者もあった。