Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate
きっと戒めおきまする。……またいつかは当人も前非をさとって、おん前に、心からおわび申す日があろうかとおもわれます。それをもって、なにとぞ昨夜のことはおゆるしおき給わりますよう、いくえにも正成、このようにおわびつかまつりまする」
「誤解か。なるほどな」
尊氏は言った。
こう対座しているのに、なにか遠くでものをいっているような正成を、ここで手もとへ引きよせて、彼の殻を割ってみたいとするらしい衝動にふッと突かれたふうだった。
「河内どの」
「はっ」
「おしえていただきたい」
「何をば」
「この尊氏が、下輩どもにまでうけている誤解とは、何なのか」
「はて。お心あたりはございませぬか?」
尊氏は息を内へのんだ。
あらためて正成の顔をみても片目をほそく何の色も変えて訊いているわけではない。それなのにこっちの肺腑へ忍びこむような圧力が彼の姿から押してくる。そう受けとれる胸の息ぜわしさを尊氏はどうしようもなく、
「ない」
と、つよく言って、おもわずその語尾の刎ねあがったことにみずから羞じた。
「では申しあげましょう、とるに足らぬひが事には過ぎませんが」と、正成は世間ばなしでもするように淡々とこう言った。