Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate
筋書はまだこれからでもございまするし」
この朝の尊氏にもそれが見えるが、そうじて彼のやりくちは、胸には夢寐にも忘れぬ大望をおいていながら、おおむね、その画策も運びも、人にやらせて見ているというふうだった。
そしてただたんに、
「よせ」
とか、
「やるがいい」
とかの、判断と注意だけを与えるにとどまって、いちいち「こうせい」「ああせい」と、細かなさしずはしなかった。
もっとも、切れ者の弟の直義を右腕に、執事の師直を左の腕ともしていたので、まずたいがいな茨のみちも、まかせておけようとしていた安心もあったからではあるにちがいない。
そのくせ、それほど主君から買われていたこの師直という執事ほど、ほかの周囲には誤解されている人間もなかった。
ひとつには、彼の風貌のせいもあろう。「あの木像蟹どのか」と、すぐ一笑の下にかたづけられる。ところが、じっさいの彼という人間は、その野臭にも似ず、なかなかこまかい神経があり、武将のうちでは学問もあるほうだった。わけて筆をとれば柄にもない美しい文字を書くし、その作歌は「風雅和歌集」にさえ載せられたほどなのだ。
家柄といえば、曾祖父高ノ重氏は、かの、