Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate
すると帝は、おん目をいからせた。まったく、当惑にみちたご気息だった。
「廉子っ」
「はい」
「そなたは、そなたの高い地位をおわすれか」
「身にすぎた准后ではございまするが、まだ准三后(皇后)とは仰がれておりませぬ」
「でも、皇太子の御母ではないか。やがては当然、国母たるそなたではないのか」
「いいえ」
「ちがうか」
「それがいけないのです。護良(大塔ノ宮)さまには、第一にそれがお心に染みません。二つには、この廉子の血は北条家のながれを汲む者ゆえ、逆臣の血を帝系に入れるなどは沙汰のかぎりであるなどとも蔭口されておりましては、なんぼう、廉子がお上をお慕いして、おそばにいたいと希っても、しょせんは、末しじゅう、恐ろしいことでしかございませぬ」
「…………」
「……また、しいて、み心のまま、わらわの産んだ恒良(皇太子)を帝位につけまいらせても、いまの宮将軍のご勢威では、決してその下にお服しなさることはございますまい。……さすれば、世はどうなりましょうか……。朝廷のお内輪から乱に乱を生みおこすようなことにもなりかねませぬ」
「やめいっ」
おん眉を凝らして叱った。
そして乾いたお口の唾を待ってまた仰っしゃった。