Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate
「吐雲斎か」
「さればで」
「樗門の獄を出して、飯をたくさん食わせてやれ」
「それは仰せどおりしておきました。また先夜の兵火で、大火傷をしていますので、それの手当もさせてはおきましたが」
「ならば、それでいい」
「ところが、きかぬ老爺で、火傷の苦しみにもめげず、高氏どのに会いたい、何でも会わせろ、と申し立ててやみません」
「ははは」と高氏は歩きながら笑い捨てた。「獄中にいて、あの夜の炎にくるまれたのだ。まだ半狂乱の火てりが冷めぬのももっともだ。放ッておけ、ほうっておけ」
一巡を終って、高氏は、庁の床几場へもどって来た。
すると、ここにも彼を待つ時務や訴えが山積していた。
訴えの中には、山野へ避けた難民の代表者もいて、庁の一隅で、それを訊く高ノ師直にどなりつけられ、二の句もなく恐れ縮んでいるようだった。
高氏は小耳にはさんで、
「何か」と、師直をよんで訊ねた。
師直がいうには。
「いやはや、単純なもので、難民どもは、はや御合戦もすんだごとく思い込み、一日も早う元の家々へ帰りたいとか、商売をしたいなどと陳情を持ちこんでまいりますゆえ、たわけども、戦はまだこれからだわ、命が不用なら、おのが家へでも焼け跡へでも戻るがいいと、這奴らの虫のよさに、只今、一喝をくれていたところでござりまする」