Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate
一、二ノ曲輪、妙見の出丸、そのほかの諸将もみな一つに寄りかたまり、ここではかえって声もなく、ただ金剛全山の異様な敵のうごきに、ひとみをこらし合っていた。
「お、ご舎弟」
正季がのぼって来たのを知ると人々は正成のそばを少し離れて空けた。その正季には、ここのすべての顔がみなゆるされない悠長なものに思われた。
「兄上、兄上には、どうごらんになりますか。籠城百七十日いらい、寄手のこんな動揺は初めてです。ただ事でございませぬ」
正成は、
「むむ、……」
と、のみであった。
ひとみも彼方のままだった。
「遠くの陣ばかりか、近くの木見、猫背山、多聞寺下の敵兵なども、あわてふためいて、なだれ退がって行きまする。一兵も打って出ず、ここはこうしておりますのに」
「正季、やっと、時が来たらしいな」
「てっきり六波羅が陥ちたものと思われます。まだ忍ノ大蔵の報せはありませぬが」
「ム、あれほどな敵勢が、致命をうけたような狼狽ぶりは、まさにそれか?」
「兄上っ」と、正季は迫って「――即刻、追い討ちかけろと、ご指揮をおくだしくださいまし。浮き足のあの敵勢へ、ここからも打って出れば」
「いや」