Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.598 caratteri · 254 schermate
――つい、ゆうべまでも、そこに、隠れていたのである。
――が、日々検断所へ曳かれてゆく一味の消息やら、こんどこそは本腰らしい六波羅部内の噂などを聞くにつけ、彼は、じっとしていられなかった。
わけて、宮中はどうなっていることだろうか。
みかどの、おん悩み。ひいては、み心の動揺までも、案じられる。
さぐりえた噂によれば、東伐の大事を割ッて、関東へそれを密告した者は、みかどの乳父、吉田大納言定房であるというではないか。
こう聞いては、もう、居ても起ってもいられない。身の危険もわすれ、
「どうしても、参内せねば」
と、闇にまぎれて、ついに深草の隠れ家を出たのであるが、はやくも、放免の眼が、俊基の落ちついた宿の先を嗅ぎつけていたとは、神ならぬ彼、今朝もまだ気づいてはいなかった。
「よし、……身清めはこれでいい。……そしての菊王」
「はっ」
菊王は、耳盥の水を、縁の欄から、すぐ下の中川の流れへこぼして。
「次は、御装束でございまするな」
「いやいや、装いは、身ひとりでする。そちは隣の無量寿院へまいって、牛車を拝借してまいれ。――今朝、ここのあるじから申し入れ、先方もおきき容れずみだ。