Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.598 caratteri · 254 schermate
そこで俄に、下向して来たわけでござりまする」
「高氏の今日の微行は、たれに聞いたか」
「いえいえそれこそは、思わざる巡り合わせでした。何せい、表面は勘当の身とて、大蔵へも伺えず、この鎌倉へ来ても空しくおるうち、ふと、刀鍛冶の後藤助光を見かけました。そしてその助光が、今日しも、葛原ヶ岡の刑場へ出かけたのをみて」
「では、助光のあとを尾けていたのか」
「そうです……。まさか矢来の外の人中に、殿がおいであろうなどとは、夢にも考えられませんでした。思うにこれも、鑁阿寺の置文を遺された先君の、おひき合せと存じられます」
鑁阿寺の置文――
それは、高氏の本質の中で、今では、夢でない現実の胸中図とまでなっていた。
いまも右馬介から聞いた中央の情勢と、幕府内部の政情とを、にらみ合せて、
「必定、今年は大乱」
と観ている確信を、彼はいよいよ以てつよくした。そして、右馬介へも、今夜はそれを、つつまなかった。
高氏の観察では。
これまでの消極的な、事勿れ主義一方では、鎌倉の安泰も保持しきれないことを、近来、幕府自体もさとって来ている。
が、すべてを、相模入道高時の暗愚のせいとばかりする輿論は、当たっていない。