Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.598 caratteri · 254 schermate
「これは、これは。散所屋敷の若殿さまで」
「前夜、わしの向けた家人どもへ、あいさつに出たのは、そのほうか」
「はい。てまえでしたが」
「なぜ、雨露次夫婦は、迎えをよろこばぬのであろ。当方の意を、そのほうまでが、思いちがいしたものか」
「滅相もない。ありがたいおぼしめしは、よう伝えもしましたし、当人どもも分っているはずでございますが」
「ともあれ、わしが直々会おう。会ってよう得心させようぞ。呼んでくれい。夫婦の者を」
「ちょっと、お待ち下さいまし」
あたふたと、彼はすぐ、観音堂の方へ走った。
が、豊麻呂は待ちあぐねた。――また、さっきから山門の袖に佇んで様子を見ていた一武士も来て、彼と何かきあい、やがて肩を並べて、藁葺御堂の方へ、一しょに歩み出していた。
そして、そこの縁に、茫然と、ただ立っているだけの妙達を見たのであった。――その妙達の口から、夫婦の姿も見当らず、夫婦が毎日供養していた子の骨つぼもないと聞いて、
「さては、昨夜のうちに。……正季どの。残念だったな」
豊麻呂は、一方の侍をかえりみて、憮然とした。――が、うつろな面を、御堂に向けたまま、惨として、涙を内にのんでいるらしいその侍の姿を、見るに耐えぬかのようにすぐ眼をそらした。