Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.598 caratteri · 254 schermate
お笑いくださいませ」
と、後は、泣き笑いにまぎらせた。
× ×
いつか、初瀬川の水音も、夏の夜ながら、肌寒いほど更けかけていた。
「いや、伺うてみれば、二人の身の上も、このすね法師が身の上も、まずは似たり寄ッたりといえようか。あらまし、同様な境遇の人間は、世上にめずらしくないものとみえる。ハハハハ」
沁んみり、聞いていた風だったが、聞き終ると、兼好法師は、からからと打ち笑った。
それは、夫婦の嘆きを揶揄したのではなく、自分もくるめての、運命というものに対する、彼らしい楽天的な嘲笑だった。
――のみならず、兼好法師は、
「よかった、よかった」
何がよかッたというのやら、しきりに、独り合点して。
「恋、お身の上、現在の御境遇、なべて縷々のおん物語りも、伺うてみれば、まずはめでたいことばかりじゃ。さらさら御不運でも何でもない」
彼はまた、こうもいう。
「……羨ましいのう、この兼好の恋にくらべれば、また、この兼好のすねたる半俗姿の今にくらべれば。……あんた方などは、よほど、よい月日の下の男女よと、わしには見えるが……待てよ、違うかナ……ご自身では、さように自身を見つけ出しておらるるや、否や」