Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記
吉川 英治
Leggi 私本太平記 (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.598 caratteri · 254 schermate
正季は、当惑顔と共に。
「何ゆえ、延期せよなどと、仰っしゃるのだろう?」
「時早し、ということらしい」
「雨乞いがか」
「この空、まだ雨を催す気配はない。――自然の雨気が循環ッても来ぬものを、いかに建水分ノ神でも、雨を降らせようがあるまいに、と腹を抱えて、笑われるのだった。……そしてまた、こうもいわれる。さてさて、兵法を知らぬものかな、と」
「兵法とな」
「ムム。戦の上でも、星を祭ったり、卜占を観たりするが、奇蹟や神だのみがあてではない。人心収攬の術で、べつに理由のあることだと、さんざんお談義をくッてしまった」
「じゃあ、雨乞いなど、見合せろと、仰っしゃるのか」
「いやいや。そんな無理解なお告げでもない。――金剛山を水源とする、この水分川の要地に拠って、先祖代々、川下の河内平野、数十郷の百姓に、水利を与え、代りに年貢をとっている楠木家がそれしきの兵法をわきまえずして、どうするかという、ご注意に過ぎぬ」
「なるほど」
「で今後、気象の上に、雨気近しと見えたら、すぐ加賀田から知らせるゆえ、その日より雨乞いにかかれ。ヘタな祈祷をやって、領主のこけんを失うなとのおことばなのだ。