Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しゅうふうき

秋風記

太宰 治

Leggi 秋風記 (しゅうふうき) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8011 caratteri · 17 schermate

Aozora Bunko

すぐ鼻のさきに、おや、と思うほど高い山が立っている。」

「ときどき来るの?」

「いいえ。いちど。」

「死にに。」

「そうだ。」

「そのとき遊んだ?」

「遊ばない。」

「今夜は?」Kは、すましている。

私は笑う。「なあんだ、それがKの、よい悪事か。なあんだ。僕はまた、――」

「なに。」

私は決意して、「僕と、一緒に死ぬのかと思った。」

「ああ、」こんどは、Kが笑った。「わるい善行って言葉も、あるわよ。」

浴場のながい階段を、一段、一段、ゆっくりゆっくり上る毎に、よい悪事、わるい善行、よい悪事、わるい善行、よい悪事、わるい善行、……。

芸者をひとり、よんだ。

「私たち、ふたりで居ると、心中しそうで危いから、今夜は寝ないで番をして下さいな。死神が来たら、追っ払うんですよ。」Kがまじめにそう言うと、

「承知いたしました。まさかのときには、三人心中というてもあります。」と答えた。

観世縒に火を点じて、その火の消えないうちに、命じられたものの名を言って隣の人に手渡す、あの遊戯をはじめた。ちっとも役に立たないもの。はい。

「片方割れた下駄。」

「歩かない馬。」

「破れた三味線。」

「写らない写真機。