Classici giapponesi con furigana
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しんのしゅっぱつ
秦の出発
豊島 与志雄
Leggi 秦の出発 (しんのしゅっぱつ) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.532 caratteri · 29 schermate
肺を病んでるようでもあるし、心臓が弱ってるようでもあるし、神経が疲れてるようでもあるし……どうもよく分らん。」
だが、秦の関心がそんなところにあるのでないことは、私にも分った。彼にとって私は、どんなことでも打明け易い相手ではあったとしても、その打明けるべき肝腎なことがまだ不分明だったのだとも言えよう。
暫く沈黙の後に、私は言った。
「まあ、君の愛情で、彼女をやさしく包みこんでしまうんだね。」
秦は眼を挙げて、じっと宙を見つめた。
「そいつが問題なんだ。もともと、僕の愛情も……不純だったかも知れない。はじめはあれの一風変ったところに心が惹かれ、それからはあの霊界のことだ。あまり概略的な言い方だけれど、神秘を失うことは精神を失うことだと僕は思っている。キリスト教も、マホメット教も、予言者が出現しなくなってからは堕落した。仏教も、真如探求から衆生済度へ転向してから低俗になった。日本のあのみそぎ修業は――これは君の方がよく知ってる筈だが――神の世界を持ち続けてる間しか、生きた生命はなかろう。神秘、奇蹟、霊界……現代人の知性では理解出来難い何物か、それを失う時には、人間の高い精神も滅びてしまう。