Classici giapponesi con furigana
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どうてい
童貞
夢野 久作
Leggi 童貞 (どうてい) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.572 caratteri · 27 schermate
……路ばたの立木の陰に彼女の無邪気なうしろ姿の幻影が佇むのであった。……「ネエ……チョイト」という秘やかな声をハッキリと耳にして、思わず立ち止った事も一度や二度ではなかった。
……しかし……それもホンノ暫くの間の事であった。そうした執拗な彼女の幻影も、彼自身に迫って来る烈しい現実の苦痛のために、次第次第に掻き消され勝ちになって来た。
彼は甚しく飢えていた。ヘトヘトに疲れていた。そうして焦げつくほど渇いていた。彼を包む無量の炎天と、彼を導く無限の白い道路とは彼の肉体の高い熱と一緒になって、彼の魂をカサカサに乾燥させて行った。
彼は何のために歩き出したのか。何を目当てによろめいて行くのか解らなくなって来た。若い女とスレ違っても振り返る力がなくなってしまった。否、むしろ気がつかなくなったと言った方が真実に近いであろう。もう……暑さも寒さも感じなくなって、白昼の幽霊のようにうなだれたままフラフラと向うの方へ行くばかりで、それを立ち止らせようという意志さえも、とっくの昔に彼の肉体から消え失せていた。ただその間じゅう彼がハッキリと意識していたのは、長いこと不潔なままにしている口の中に最前吐いた血のにおいが、まつわり残っているのが、高い熱のために粘っこくなった唾液とゴッチャになって、たまらなく腥いような、黄臭いような