Classici giapponesi con furigana
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わらうおしおんな
笑う唖女
夢野 久作
Leggi 笑う唖女 (わらうおしおんな) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.719 caratteri · 31 schermate
「二番目の棚の右の端で御座ったの」
と云ううちに自分で二つ三つうなずきながら、大仰に袴の両岨を取った頓野老人は、玄関脇の薬局にヨチヨチと走り込んだ。ホントウにこの家の案内を知っているらしく、突当りの薬戸棚の硝子戸を開いて、旧式の黒柿製の秘薬筥を取出して調薬棚の上に置いた。その中から抓み出した小型の注射器に蒸溜水を七分目ほど入れて、箱の片隅の小さな薬瓶の中の白い粉を、薬包紙の上に零すと、指の先で無雑作に抓み取りながら注射器の中へポロポロとヒネリ込んだ。活栓と針を手早く添えて、中味の液体をシーソー式に動かすと、薬の残りを箱の中の瓶に返して、右手にアルコールを涵した脱脂綿と、万創膏を持ちながら薬局を出て来た。
「ヘッヘッヘ。わしは元来胆石でなあ。飲み過ぎると胸が痛み出す。痛み出すと自分でこの注射をやって眠るのが楽しみでなあ。ヒッヒッ。この見量なら下手な天秤よりもヨッポドたしかじゃ。生命がけの練習しとるけになあ。……さあ作って来ました。六分ゲレンの一じゃからちょうど一プロの一瓦じゃ。相手が相手じゃけに相当利きまっしょう。さあ……」
澄夫は、こうした頓野老人の自慢の離れ業を格別、驚いた様子もなく受取った。