Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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むらさきだいなごん

紫大納言

坂口 安吾

Leggi 紫大納言 (むらさきだいなごん) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.899 caratteri · 26 schermate

Aozora Bunko

天女は涙をうかべた。

「天翔ける衣が欲しいとは思いませぬか」必死に叫んだ。「あの大空をひととびにする衣ですよ。笛を返して下さる御礼に、次の月夜に、きっとお届け致しましょう。天女に偽はございませぬ」

「隠れ蓑の大納言とは聞き及びましたが、空飛びの大納言は珍聞です」と、大納言はにやにやした。「すらりとしたあなたならばいざ知らず、猪のようにふとった私が空を翔けても、とんと風味がありますまい。私は、こうして、京のおちこちを歩くだけで沢山です。唐、天竺の女のことまで気にかかっては、眠るいとまもありますまい。まあさ。郷に入っては郷に従えと云う通り、この国では、若い娘が男の顔をみるときは、笑顔をつくるものですよ」

大納言の官能は、したたか酩酊に及びはじめた。ふらりふらりと天女に近づき、片手で天女の片手をとり、片手で天女の頬っぺたを弾きそうな様子であった。

天女は飛びのき、凜として、柳眉を逆立てて、直立した。

「あとで悔いても及びませぬ。姫君のお仕置が怖しいとは思いませぬか」大納言を睨み、刺した。「月の国の仕返しを受けますよ」

「ワッハッハッハ。天つ乙女の軍勢が攻め寄せて来ますかな。