Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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むらさきだいなごん

紫大納言

坂口 安吾

Leggi 紫大納言 (むらさきだいなごん) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.899 caratteri · 26 schermate

Aozora Bunko

いや、喜び勇んで一戦に応じましょう。一族郎党、さだめし勇み立って戦うことでありましょう。力つきれば、敗れることを悔いますまい。こうときまれば、愈この笛は差上げられぬ」

天女は張りつめた力もくずれ、しくしく泣きだした。

大納言はそれを眺めて、満悦のためにだらしなくとろけた顔をにたにたさせて、喉を鳴らした。

天女の裳裾をとりあげて、泥を払ってやるふりをして、不思議な香気をたのしんだ。

「これさ。御案じなさることはありますまい。とって食おうとは申しませぬ」

大納言は食指をしゃぶって、意地悪く、天女の素足をつついた。泣きくれながら、本能的にあとずさり、すくみ、ふるえる天女の姿態を満喫して、しびれる官能をたのしんだ。

「とにかく、この山中では、打解けて話もできますまい。はじめて下界へお降りあそばしたこととて、心細さがひとしおとは察せられますが、それとてもこの世のならいによれば、忘れという魔者の使いが、一夜のうちに涙をふいてくれる筈。お望みならば、月の姫の御殿に劣らぬお住居もつくらせましょう。おや、知らないうちに、月もだいぶ上ったようです。まず、そろそろと、めあての家へ参ることに致しましょう」