Classici giapponesi con furigana
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むらさきしきぶ
紫式部
長谷川 時雨
Leggi 紫式部 (むらさきしきぶ) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3199 caratteri · 7 schermate
どうしたことかその一冊だけが、おさない手ずさびの記念のように、榛原の千代紙で上被いがしてあるのであった。白い地に柳やら桜やらの細かい細かい模様であったが――
あたくしの昨今は、トウチカの中に暮しているように、自分というものがすこしもないので、夜中でも真昼でも、寸分のくつろぎがない日を送っている。目を覚ませば昨日のしのこしたこと、今日のこと、明日のこと、仕事と家事のほかは、病む人の神経が、操りのようにあたくしの神経の全部に走り、それを意識して意識しないふうに、甚だ無神経な奴になっていなければ、病人も家のものもみんな顰めッ面になってしまう。
で、あたくしが、すこしでも考えこんでいるということは、それが、庭などを、何気なく眺めていることでも、間違われやすく、何か苦慮しているかととられる。
紫式部のことも、以前、あれこれと考えたことはあったが、すべてが浅々しかったと思うので、古いことは思い出さないことにして、さて、何を、この中でまとめられるものではない。今も、雨の朝の紫色の小菊を見た一瞬、そうだっけ随筆の題がなるべく紫式部をというのだったがと、思いはしても、どうして、そんな、チョロッケに書けるものではないと打消す下には、さまざまな、仕事の腹案や、雑務のおくれがちなのが、あれもこれも胸を突いてきて、蒸暑い室のなか