Classici giapponesi con furigana
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えほんのはる
絵本の春
泉 鏡花
Leggi 絵本の春 (えほんのはる) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6447 caratteri · 13 schermate
そこへ……小路の奥の、森の覆った中から、葉をざわざわと鳴らすばかり、脊の高い、色の真白な、大柄な婦が、横町の湯の帰途と見える、……化粧道具と、手拭を絞ったのを手にして、陽気はこれだし、のぼせもした、……微酔もそのままで、ふらふらと花をみまわしつつ近づいた。
巣から落ちた木菟の雛ッ子のような小僧に対して、一種の大なる化鳥である。大女の、わけて櫛巻に無雑作に引束ねた黒髪の房々とした濡色と、色の白さは目覚しい。
「おやおや……新坊。」
小僧はやっぱり夢中でいた。
「おい、新坊。」
と、手拭で頬辺を、つるりと撫でる。
「あッ。」
と、肝を消して、
「まあ、小母さん。」
ベソを掻いて、顔を見て、
「御免なさい。御免なさい。父さんに言っては可厭だよ。」
と、あわれみを乞いつつ言った。
不気味に凄い、魔の小路だというのに、婦が一人で、湯帰りの捷径を怪んでは不可い。……実はこの小母さんだから通ったのである。
つい、(乙)の字なりに畝った小路の、大川へ出口の小さな二階家に、独身で住って、門に周易の看板を出している、小母さんが既に魔に近い。婦でト筮をするのが怪しいのではない。