Classici giapponesi con furigana
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ままこ
継子
夢野 久作
Leggi 継子 (ままこ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.364 caratteri · 25 schermate
二時半を打っても三時を打っても……片割月が西側の森に隠れて、そこいらがすこし暗くなりかけても、一心に窓際に掴まっていた。そうして東の空が、ほのぼのと明けかかって来ると、玲子はほっとタメ息を一つして廊下を引返して玄関に出た。足音を忍ばしてまだ真暗な二階のサロンへ上って来た。
ところが玲子が三階の物置へ通ずる狭い板梯子へ片足を踏みかけようとした時に、サロンの天井に吊された美事なキリコ硝子のシャンデリアがパッと輝き出したので、玲子は思わずハッと身を縮めたまま背後を振り返った。あんまり急に明るくなったので眼をパチパチさせてみたが暫くは何も見えなかった。玲子は梯子段に片足を踏みかけて振返ったまま石のように固くなってしまった。
「あら……お母様……」
サロンの片隅の寝室に通ずるカーテンの蔭から美しい婦人の姿が徐々に現われた。それは三十四五かと見える前髪を縮らした美しいマダムで、全身が刺青のように青光りする波斯模様の派手な寝間着を着た、石竹色のしなやかな素足に、これも贅沢な刺繍のスリッパを穿いていたが、その顔は大理石を彫んだように真白く硬ばって、大きな美しい二つの瞳には真黒い怒りがみちみちていた。