Classici giapponesi con furigana
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りょくいじんでん
緑衣人伝
田中 貢太郎
Leggi 緑衣人伝 (りょくいじんでん) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5103 caratteri · 11 schermate
「若い奥様ができたと思ってくださりゃいいじゃないの、それでも、しいて名が聞きたいなら、私はいつも、この緑の衣を着ているでしょう」
と、片手を胸にやって、その辺をちょっと撫でて見せながら、
「緑衣人とでも言ってくださいよ」
こう言って少女は面白そうに笑った。源もつり込まれて大声に笑った。
「では、緑衣人としておこう、名は、まあ、それでいいとして、所を聞きたいね」
「所なんかいいじゃありませんか、今にすぐわかりますよ、眼と鼻の間にいる者ですから」
源はふとこの女は付近の豪家に仕えている侍女でないかと思った。そう思うと双鬟に結うた髪にそれらしい面影があった。
源はある晩酒を飲んでいた。そこへ少女が入ってきた。源は少女の衣服に指をさした。
「緑の衣あり、緑の衣に黄の裳せり」
と詩経の句を歌うように言ってから、
「これはあなたのことさ」
源は面白そうに笑った。少女は顔を赧くして俯向いてしまった。詩経の句は婢妾のことを歌ったものであった。源は少女の気に障ったと思ったので、すぐ他のことに話を移してしまった。
少女はその翌晩から源の許へ姿を見せなかった。そして五六日して来た。