Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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るこうしんそう

縷紅新草

泉 鏡花

Leggi 縷紅新草 (るこうしんそう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.566 caratteri · 48 schermate

Aozora Bunko

「私、こいしい、おっかさん。」

前刻から――辻町は、演芸、映画、そんなものの楽屋に縁がある――ほんの少々だけれども、これは筋にして稼げると、潜に悪心の萌したのが、この時、色も、慾も何にもない、しみじみと、いとしくて涙ぐんだ。

「へい。お待遠でござりました。」

片手に蝋燭を、ちらちら、片手に少しばかり火を入れた十能を持って、婆さんが庫裏から出た。

「糸塚さんへ置いて行きます、あとで気をつけて下さいましよ、烏が火を銜えるといいますから。」

お米も、式台へもうかかった。

「へい、もう、刻限で、危気はござりましねえ、嘴太烏も、嘴細烏も、千羽ヶ淵の森へ行んで寝ました。」

大城下は、目の下に、町の燈は、柳にともれ、川に流るる。磴を下へ、谷の暗いように下りた。場末の五燈はまだ来ない。

あきない帰りの豆府屋が、ぶつかるように、ハタと留った時、

「あれ、蜻蛉が。」

お米が膝をついて、手を合せた。

あの墓石を寄せかけた、塚の糸枠の柄にかけて下山した、提灯が、山門へ出て、すこしずつ高くなり、裏山の風一通り、赤蜻蛉が静と動いて、女の影が……二人見えた。

昭和十四(一九三九)年七月