Classici giapponesi con furigana
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びしょうねん
美少年
岡本 かの子
Leggi 美少年 (びしょうねん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.417 caratteri · 27 schermate
「あれだけ綺麗な子なら何をしたって瑕にはなりませんとも」と。
わたしとて全部気持の悪い相手ではなかった。牡丹桜のような少年の美貌は、傍にいれば眼が放せないほど咲き溢り、共に浮き浮きさせられた。困ったことの一つの彼の暴言癖すら咲き狂った花の賑いと感じられぬこともない。その性に関する悪たれ口なぞ吐きかけられる度びにわたしは顔を赭くしてひやりとする。けれども慣れて来るにつれ、それがわたしの憂鬱を根から掻き交ぜて、うす明るみをさし加える物憎い魅惑を少しずつわたしのこころに覚え込まして来た。彼無くして、病室の暮しは暗く寂しく感じられるようになった。彼にもしこの暴言の棘がなかったら、或はその快さは見ているとき限りの、離れたらすぐ忘れ去るたちの美少年だったかも知れない。
わたしはお祖母さんに病院の玄関を送り出され、いつも待合せる場所になっている鉄道馬車通りの交番の角まで来ると、少年は柳の幹に背を靠らせて待受けていた。
わたしはそれを見付けてもいつもの通り心臆して、すぐ少年の前へは進んで行けない。二三間手前のところで立止ってしまって、身体をくにゃりと曲げ、袂のさきを拾い上げ揉みくしゃにしながら相手の出ようを待っている。