Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ろうじんとこどくなむすめ

老人と孤独な娘

小山 清

Leggi 老人と孤独な娘 (ろうじんとこどくなむすめ) di 小山 清 (こやまきよし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2236 caratteri · 5 schermate

Aozora Bunko

いつも夕方に、ときどき飯屋に寄るのであった。アジが好きだった。見ると、そこに跛の娘が店に立働いていた。老人は娘の顔を見ていたが、娘は知らぬ顔をしていた。娘は老人に膳を持ってきた。老人は飯を食べて、杖を引いて立上ったが、土間に杖を転がした。娘は杖を拾ってやった。老人は「有難う。」と言った。

家に戻って、寝椅子に腰を下していたが、娘のことを思った。髪も、化粧も、素朴な形であった。老人は眼が熱くなってきた。……また、池の辺りにしゃがんだときも、娘のことを思った。

そのうち五日に老人はまた夕方に飯屋に寄った。娘は立働いていた。「イカを下さい。」と老人は言った。釣銭を受取ると、娘は「有難うございます。」と言った。六日の昼頃にまた老人は飯屋に寄った。昼は客も空いていた。「豆腐を下さい。」と老人は言った。豆腐は大好きだった。「有難うございます。」と娘は言った。

老人は七日にS町の映画館に行った。西洋物であった。漢字がなかなか分らなかった。でも、西洋物が好きだった。偶然、「野鴨」を見た。十四歳の娘が屋根裏部屋で自殺した。とても可哀そうだった。娘は眼が悪いのであった。