Classici giapponesi con furigana
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ろうぎしょう
老妓抄
岡本 かの子
Leggi 老妓抄 (ろうぎしょう) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.601 caratteri · 31 schermate
「ああそんなら知ってるよ。レコードで……あの節廻しはたいしたもんだね」
「あのお婆さんは体中の皺を足の裏へ、括って溜めているという評判だが、あんたなんかまだその必要はなさそうだなあ」
老妓の眼はぎろりと光ったが、すぐ微笑して
「あたしかい、さあ、もうだいぶ年越の豆の数も殖えたから、前のようには行くまいが、まあ試しに」といって、老妓は左の腕の袖口を捲って柚木の前に突き出した。
「あんたがだね。ここの腕の皮を親指と人差指で力一ぱい抓って圧えててご覧」
柚木はいう通りにしてみた。柚木にそうさせて置いてから、老妓はその反対側の腕の皮膚を自分の右の二本の指で抓って引くと、柚木の指に挟まっていた皮膚はじいわり滑り抜けて、もとの腕の形に納まるのである。もう一度柚木は力を籠めて試してみたが、老妓にひかれると滑り去って抓り止めていられなかった。鰻の腹のような靭い滑かさと、羊皮紙のような神秘な白い色とが、柚木の感覚にいつまでも残った。
「気持ちの悪い……。だが、驚いたなあ」
老妓は腕に指痕の血の気がさしたのを、縮緬の襦袢の袖で擦り散らしてから、腕を納めていった。
「小さいときから、打ったり叩かれたりして踊りで鍛えられたお蔭だよ」