Classici giapponesi con furigana
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ろうじゅんさ
老巡査
夢野 久作
Leggi 老巡査 (ろうじゅんさ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8237 caratteri · 17 schermate
彼は、こうして幾カラットのダイヤモンドにも優るスバラシイ幸運を踏みにじって行ったのであった。金口の煙草を、そんな風にして吸う人間がドンナ種類の人間であるか考えたならば……そうしてソンナ種類の人間が、このような真夜中の別荘地帯に無暗に来るものか来ないものかを、その時にチョット考えてみただけでも、彼の一生涯の幸運を取返す筈であったのに……。
もう五十を越していながら、まだ部長にもなり得ないでいる睦田巡査は、こうして巡廻を続けながら、これぞという功績も過失もなかった平々凡々の彼の巡査生涯を、何度くり返して考え直したか、わからないのであった。何か事件が起るたんびに、こんな仕事は自分に向かないと思ってビクビクしながらも、ただ病身の妻と、大勢の子供が可愛いばっかりに、思い切って辞職もし得ないで来た彼の運命のみじめさを幾度涙ぐんだか知れないのであった。
だから最近に栄転した前署長のお情けで、東京郊外の平和な別荘地になっている、このK村の駐在所に廻わされると、受持区域に住んでいる知名の人々からの附届けで、やっと息が吐けるようになった事をドレ位、感謝していたことか。