Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たんでき

耽溺

岩野 泡鳴

Leggi 耽溺 (たんでき) di 岩野 泡鳴 (いわのほうめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.597 caratteri · 110 schermate

Aozora Bunko

子供はふたりとも吹き出した。

「吉弥も吉弥だ、あんな奴にくッついておらなくとも、お客さんはどこにでもある。――あんな奴があって、うちの商売の邪魔をするのだ」

そう思うのも実際だ。僕が来てからの様子を見ていても、料理の仕出しと言ってもそうあるようには見えないし、あがるお客はなおさら少い。たよりとしていたのは、吉弥独りのかせぎ高だ。毎日夕がたになると、家族は囲炉裡を取りまいて、吉弥の口のかかって来るのを今か今かと待っている。

やがて吉弥はのッそり帰って来た。

「何をぐずぐずしておったんだ? すぐお座敷だよ」お貞はその割り合いに強くは当らなかった。

「そう」吉弥は平気で返事をして、炉のそばに坐って、「いらっしゃい」僕に挨拶をしたが、まるめて持っていた手拭としゃぼんとをどこに置こうかとまごついていたが、それを炉のふちへ置いて、

「一本、どうか」と、僕のそばの巻煙草入れに手を出した。

その時、吉弥は僕のうしろに坐っているお君の鋭い目に出くわしたらしい。急に険相な顔になって、「何だい、そのにらみざまは? 蛙じゃアあるめいし。手拭をここへ置くのがいけなけりゃア、勝手に自分でどこへでもかけるがいい! いけ好かない小まッちゃくれだ!」