Classici giapponesi con furigana
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せいにょにんぞう
聖女人像
豊島 与志雄
Leggi 聖女人像 (せいにょにんぞう) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.549 caratteri · 28 schermate
そのような時、堅い物を後頭部にあてがうと気持ちがよい。ふと思いついて、婆やに箱枕を買ってきて貰った。陶枕というやつはどうも病人くさくていけない。箱枕なら、独身者に色気まで添えてくれる。婆やが買って来たのは、鮮かな朱塗りのもので、緋繻子の枕布に、赤い絹糸の総が垂らしてある。それに白麻の覆いをして貰い、私は仰向きに寝転ぶのだ。少し高めだが、頸筋に空気の通りがよく、後頭部だけが気持よく緊圧される。後頭部に少しく痺れがくると、横向きになる。
正面に、緑葉から覗き出てる百日紅の花が見える。じっと見つめていると、花は淋しく微笑み、私は寂寥の淵に沈んでゆく。何物にも代え難く貴い、孤独圏の中の寂寥の深淵だ。心は痛み、眼に涙がにじんでくる。哀愁と喜悦とが合致した境地だ。それを私は何物にも乱されることなく、自分一人のものとして確保したいのだ。ここを通ってこそ、高い思念が得られ、創意が湧いてくるのだ。私はただ祈りたい。
――清子が側にいたら、この私の祈りを助けてくれるだろう。その無言の温容で、私に力づけてくれるだろう。黙って側にいることによって、それだけのことをしてくれる、そういう彼女なのだ。